津波で大きな被害を受けた福島県いわき市。
ここでもまた、現在の状況や、いわきの美しさ、素晴らしさを伝えようと多くのグループが活動しています。
そんな方々の協力をいただき、「学童クラブ泉キッズCAMP」及び「DreamLab」のお子様達に小法師の色付けをしていただきました。
素材の白い小法師は会津の山鹿興産様よりご支援を得ています。
同じ震災を経験したラクイラの人々への思いを込めて、小さな手で丁寧に描かれた小法師たち。
99の町と言われるラクイラにちなんで99個用意しました。
展覧会の後は、ラクイラの中学校へ贈呈されました。
起き上がり小法師は福島県会津の伝統工芸。
転んでも起き上がる地元の伝統工芸にお互いの復興への願いを込めて、お子様たちやお子様の心を持つ大人達が丁寧に色付けしました。
ラクイラの公立ダンテ・アリギエーリ中学校(カルドゥッチ校)にて、4月4日「起き上がり小法師」贈呈式が行われました。
校庭で旗手や楽隊がパフォーマンスを披露した後、正面入り口を入ってすぐのところに設えられた陳列棚の除幕式。
中学生たちがお礼や日本の復興を祈るメッセージを次々朗読しました。
その後、子供達が持ち寄ったお菓子やスナックで懇親会。アブルッツォ伝統のお菓子に混ざって見よう見まねで作ったどら焼きまで登場です。
生徒たちからの手紙は、7月にエマヌエラ・パポラ教諭が来日して直接いわきに届けられます。
「小法師の贈り物を受け取る子供達に、前もって日本の状況を学ばせたい。」
ダンテ・アリギエーリ中学校G.カルドゥッチ校からの依頼を受け、日本での地震対策についてのプレゼンテーションが行われました。
耐震・免震構造や定期的な避難訓練など総合的に状況を説明する Giappone in Abruzzo協会員オドアルド・トマッシ氏。
ラクイラ在住の長い音楽家・長澤真知子氏は、日本でラクイラの状況を説明なさった経験や阪神淡路大震災の経験など話されました。
更に、ラクイラ大学との共同研究のため偶然滞在中でいらした京都立命館大学の清水泰有氏より専門的な説明をいただくことができました。
福島県いわき市は海と山の間にある、アブルッツォとの共通点も少なくない土地。
震災時には津波による被害が甚大で原子力発電所事故による不安や噂にも悩まされて来ました。しかしここには、震災によって新たにした価値観を大切に自分なりの活動を続ける人々がたくさんいます。
今回の『小法師展覧会』及びラクイラのダンテ・アリギエーリ中学校への贈呈に協力して下さったのは、Fスタディツアー坂本雅彦氏よりご紹介の2箇所のアフタースクールです。
一箇所目の泉キッズCAMPは、子供達が学校の後で勉強して遊び、親御さんが迎えに来るまでお風呂や夕食も済ませられるアフタースクールです。
嶋村仁美理事長は、神奈川県の子供達との交流イベントも定期的に開催なさっていますが、そのきっかけはいわきに通い始めた時に神奈川県の子供達から「危ないから行かないで!」と泣きつかれたからだそう。
(嶋村さん)「原発事故の後で様々なニュースや噂が流れる中、福島県では子供達があちらこちらに倒れて死んでしまっていると思い込んでいたのですね。」
そこで現状を知ってもらうために神奈川から定期的に行っていた遠征をいわきに設定したものの当初の参加者はごくわずか、ご家族や学校からも「そんな危険な場所に子供を連れて行くなんて」と不安が寄せられる度、いわきの線量の低さや飲食物なども全て震災前の半分の制限値でコントロールされていること、途中線量が高めの地域をバスで通過する際の危険はレントゲン撮影や航空機で北米まで渡航する際の放射線量と比べてごく僅かであることなど説明を繰り返したそうです。
(嶋村さん)「そして、こちらを訪れていわきの子供達と交流した子供達が、みんな元気で遊んでいて自分たちと同じだと学校などで話して聞かせたそうです。はじめは不安で反対なさった先生からも、良く知りもせずに失礼しましたとご連絡いただきました。帰ってからも文通を続けたりしているんですよ。」
神奈川の子供達のいわき訪問は毎回参加数が増え続けているそうです。
もう一箇所、いわき駅近くの英語のアフタースクールDreamLabは、小川智美代表取締役が北米での経験を生かし、お子様たちの個性を大切に、それぞれの能力や興味を発揮できるような取り組みを続けていらっしゃいます。
震災時の様子を伺うのを忘れるほどリラックスした前向きなエネルギーで活動への思いを語ってくださる小川代表のもと、お子様達は自然に英語に触れながら宿題をしたり遊んだりのびのびと過ごしています。
地元いわきの素晴らしさを伝えるため「いわき応援チーム EN」や「Fスタディツアー」など様々な活動に取り組む坂本氏及びご縁を繋いで下さった「火祭りでイタリアと須賀川を結ぶ会」水野代表にお礼申し上げます。